日本における東洋医学の年表

時代・年代	出来事	説明
紀元前3世紀頃(戦国時代末期・中国)	『黄帝内経』の編纂	東洋医学の原点とされる医学書。体内の「気」の流れや、経絡とツボの理論を体系化。
6世紀(飛鳥時代・日本)	医学・鍼灸技術の伝来	中国・朝鮮半島を経由して、仏教とともに医術・鍼灸が伝えられる。宮廷中心に医療として受け入れられる。
7世紀(遣隋使・遣唐使の時代)	本格的な東洋医学の導入	遣隋使・遣唐使によって隋・唐の高度な医学体系が日本に伝わり、東洋医学の基礎が築かれる。
984年(平安時代)	『医心方』の編纂	日本最古の現存医学書。鍼灸や薬草療法、養生法などが体系的にまとめられ、日本の伝統医療の礎となる。
江戸時代(17世紀)	杉山和一による鍼灸の普及	「管鍼法」を考案し、目の不自由な人にも鍼灸技術を広める。鍼灸が庶民の間にも浸透し、日本独自の技術体系へと発展。
明治時代(19世紀末)	西洋医学中心の医療制度へ	明治政府が西洋医学を国家医療制度の中心に据え、鍼灸は一時的に民間療法へと後退。しかし地域医療として根強く残る。
1945年(昭和20年)	終戦、GHQによる東洋医学禁止勧告	戦後、GHQの政策で鍼灸・漢方が「非科学的」と見なされ禁止されかけるが、日本の医師たちの強い働きかけで存続が認められる。
20世紀後半(昭和〜平成)	東洋医学・鍼灸の再評価	科学的研究が進み、効果や仕組みが徐々に明らかに。補完・代替医療(CAM)として医療現場にも取り入れられるようになる。
現代(21世紀)	国際的な普及と進化	世界保健機関(WHO)も鍼灸の有効性を認め、世界中で伝統医療として再評価。科学と伝統を融合させた新たな東洋医学の形が広がっている。

東洋医学は、中国を起源とし、長い歴史の中で日本や朝鮮半島などアジア各地に広がり、独自の発展を遂げてきた伝統医学体系です。
その基礎には、紀元前3世紀頃に編纂されたとされる中国最古の医学書『黄帝内経』があり、体内を巡る「気」の流れや経絡・ツボの理論が体系化されました。

日本には6世紀頃、仏教とともに中国・朝鮮を経由して医学や鍼灸の技術が伝わり、7世紀の遣隋使・遣唐使の時代には、本格的に唐の医学が導入され、これにより、東洋医学の基礎が日本でも築かれることとなりました。

平安時代の984年には、日本最古の現存医学書『医心方』が編纂され、鍼灸や薬草療法、養生法などが体系的にまとめられます。江戸時代には、杉山和一が「管鍼法」を考案し、鍼灸を目の不自由な方々にも広めたことで、民間の間にも浸透し、日本独自の鍼灸技術が発展していきました。

しかし、明治時代になると政府は西洋医学を国家の医療制度の中心に据え、東洋医学は一時的に民間療法として位置づけられる事になります。さらに1945年の終戦後、GHQの方針で鍼灸や漢方は「非科学的」として禁止されかけますが、日本の医師たちの強い働きかけにより存続が認められました。

20世紀後半以降、東洋医学に対する科学的研究が進み、その効果や仕組みが徐々に明らかにされる中で、補完・代替医療(CAM)として再評価され、現代医療の中にも取り入れられるようになりました。現在では、世界保健機関(WHO)もその有効性を認め、東洋医学は国際的にも広がりを見せています。科学と伝統が調和しながら進化を続ける東洋医学は、これからも多くの人の健康を支える存在であると思います。

東洋医学のルーツ

東洋医学は古代中国に起源を持ち、長い歴史の中で日本や朝鮮半島を含むアジア各地へ伝播し、それぞれの地で独自の発展を遂げた伝統的な医療システムです。その根幹には、紀元前3世紀頃に成立したとされる中国最古の医学書『黄帝内経』が存在し、体内を巡る「気」の概念や、その経路である経絡、そして治療点としてのツボの理論が体系的に示されています。